リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-21
ハンニバル、兵士たちに冬季休暇を与えて家族との時間を与える。
春と共に軍団は結集し、ハンニバルはガデスのヘラクレス神殿で「新しい」誓いを立てる。
遠征に先駆けて、領土の防備を固める。
 サグントゥムを占領した後、ハンニバルは冬越しのためにカルタゴノヴァに戻っていた。そのカルタゴノヴァに、ローマがついにカルタゴに宣戦布告をしたという知らせが届く。ハンニバルは自らの立場がただの一将にあるのではなく、この戦争の責を担うべきただ一人の者であることを知っていた。遅れは決して許されない。残っていた戦利品をすべて売り払い、スペインの兵士たちをすべて集めてこう告げた。
 「兵士諸君、諸君らも承知の通り、スペインのすべての部族が我が傘下に下った。戦いをここで終わらせ、我が軍を解散するべきか? それとも、このまま遠征を続けてまだ見知らぬ土地に赴くべきか? 我々が更なる戦利品と栄誉を他の国に求めるのであれば、これらの国は平和だけでなく、勝利に満ちたものとなるだろう。諸君らを待ち受けている遠征は、故郷をはるかに隔たったものだ。もう一度ふるさとを目にし、愛するものに会えるのはいつになるのかすらも分からない。親しい者に会いたいという兵士には、休暇を与える。だがその休暇も春までだ。春の訪れとともに、再びここに集え。神々は我らに微笑み、来るべき戦いを通じて、我々に莫大な量の戦利品を与えてくれる。そして我らは、偉大なる栄誉をこの手にするだろう」
 長きに渡って故郷を離れ、そしてこれからもまた更なる長い時間を離れる運命にあるものたちは、この休暇に非常な喜びを覚えた。冬の間、兵士たちは十分に休んで、次の戦いに備えて心身ともに英気を養うことが出来たのだった。
 
 春の訪れと共に、彼らは命令どおりに再び結集した。ハンニバルは全軍の様子を視察すると、まずはガデス(*1)へと向かった。ここにはヘラクレス神殿があり、ハンニバルはここに詣でて、神に戦勝を願う新たな誓い(*2)を立てたのだった。
 
 これからハンニバルがスペインを出てガリアを横切りイタリアに向かうと、母国であるアフリカの地はシチリアからの攻撃に無防備となってしまう。ハンニバルはこれを憂慮して、本国に守備隊を送った。
 彼らの抜けた穴を埋めるために、新しい兵士たちをアフリカから送らせた。主に投石兵を主体とした軽装兵だった。
 アフリカの兵がスペインへ、スペインの兵がアフリカに輸送された。こうすることによって相互的な作用(*3)が働いて、より一層の効果をあげられることを期待できた。
 アフリカに送った兵士は13850人のスペイン歩兵たち。彼らは雄牛の革で武装していた。またこれに加えて、870人のバレアレス投石兵、混成の出自から成る騎兵1200騎も送られた。
 彼らは二分され、一隊はカルタゴの守備を、もう一隊はアフリカ領の防衛につとめることとなった。
 同時にアフリカの各地に徴兵将校が派遣され、良家の子弟4000人が徴集された。彼らもまたカルタゴの防備を固めることになったがそれだけではなく、同時に人質(*1)としての役割も有していたのだった。
| livy | 21巻 | 17:33 | comments(3) | - | - | -
(*1)伝説では、ガデスに妻のイミルケと息子を連れて行き、ここからカルタゴ本国へと見送ったというそうです。この話の流れから言うと、もしもこれが事実だとすれば、妻と息子もまた人質であったように思えますが…。
| ニワセ | 2006/01/31 5:40 PM |

(*2)『新たな誓い』とあるからには当然「古い誓い」もありうるのだと思う。多分、カルタゴからスペインに向かうときに行った有名な誓いに比して、こういう表現をとったんではないかと…考えます。
| ニワセ | 2006/01/31 5:40 PM |

(*3)『相互的な作用』って、つまり、「あっちで頑張ってるから、こっちも負けずに頑張んなきゃ!」と思わせる、ということかな?
| ニワセ | 2006/01/31 5:41 PM |










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