リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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22-20
カルタゴ艦隊、大部分が拿捕される。
ローマはスペイン沿岸部の制海権を制する。
沿岸の地域を荒らしまわりながら南下し、途中で東に船を向けてイビサ島に上陸。島の中心都市は落とせなかったが、多数の戦利品を獲る。
バレアレス諸島をはじめ、スペインの多数の部族がローマの覇権を認める。
陸上の安全を得たローマは陸路進軍し、カストゥーロの近くまで至った。
ハシュドゥルバルはルシタニアに退去する。
カルタゴ陸上軍は海岸線上に隊列を組んで並び、一歩も辞さない構えだった。
ローマ軍はこれを横目にしながら、総崩れとなった敵の艦隊を追いつめた。岸辺に船首をぶつけたり、浅瀬に乗り上げて竜骨を損傷していない船は、奪って沖まで牽引していった。
こうして、ローマ軍の手に落ちたカルタゴの船は、全艦隊40隻のうちの25隻にのぼった。

戦闘の結果得られたものはそれだけに留まらなかった。このたった一度の勝利だけで、制海権はローマのものになったのだ。
ローマ軍は更に艦隊を進め、Honosca(*1)で上陸し、この都市を制圧して略奪した。
再度艦隊の錨を揚げてカルタゴノヴァを目指したが、道すがら周辺を荒し、カルタゴの友好都市は炎に包まれた。

やがてローマの艦隊はLonguntica(*2)に至る。ここにはハシュドゥルバルが船の建材をたっぷりと貯蔵していた。
ローマ軍は自軍に必要な分だけを奪い取ると、残りは焼き払った。

スペインの地中海沿岸にはこのように豊かな都市が多い。ローマ艦隊はこの沿岸に沿って航行したが、やがて海岸線から離れてEbusus島(*3)に向かった。
この島の中心都市に、ローマ軍は二日間にわたって苛烈な攻撃を与えた。しかし、都市は頑強で落ちなかった。
これ以上の攻撃が無駄であると悟ったローマ軍は方向を変え、都市の周辺部に目標を転換した。田畑を焼き、村を襲う。戦利品は、スペイン沿岸部で得たものよりも更に多かった。
これでひとまず満足したローマ軍は再び艦隊に戻ったが、折りしも、バレアレス諸島(*4)を代表する使節がグナエウス・スキピオの元にやってきて、和平を求めてきた。

グナエウス・スキピオは艦隊の舳先をスペイン本土へと向ける。
ここで艦隊を待ちうけていたのは、エブロ川沿いに居住するすべての部族の代表者だった。また、スペインでも僻地に住まう部族からも多数の代表者が訪れている。彼らは一同に会して、ローマ艦隊の帰還を待っていた。
彼らはローマの権威を認め、人質を差し出してその傘下に入った。この人質は、120人にものぼった。

こうしてローマは後背の安全を得、陸路での進軍も可能となった。ローマ軍は、Castulo(*5)まで軍を進める。

ハシュドゥルバルはルシタニア地方(*6)に退き、大西洋の間近に拠点を移した。


(*1)Honosca
エブロ川とカルタゴノヴァの間にある、沿岸の町

(*2)Longuntica
スペイン沿岸の町。どこにあるかよく分からなかったですけど、記述を見るに、エブロ川よりも南にあって、Honoscaよりもカルタゴノヴァ寄りだと思います。

(*3)Ebusus
現在のイビサ島(Eivissa)のこと。バレアレス諸島のマヨルカ島の西にある。

(*4)バレアレス諸島
この島出身の傭兵は投石兵として有名。この時代投擲兵器としては弓はあまり一般的ではなかったようで、投槍か、もしくはこの投石を主としていた。ハンニバル軍にもバレアレス兵が軽装歩兵として多く加わっています。このバレアレス諸島がローマの側に降ったのは、カルタゴにとっては見逃せない損失だったのではないかと思います。

(*5)Castulo
グラナダの北西ぐらいにある町。スペイン内陸部。ハンニバルの妻・イミルケはこのカストゥーロの出身でした。

(*6)Lusitania
ほぼポルトガル。関係ないけれど有名なタイタニック号のライバル船でルシタニア号という船がありました。
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