リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-11
サグントゥムの壁がついに崩れて、ついに市街戦段階に入る。
Oretani族とCarpetani族に叛乱の兆しが見られたため、ハンニバルは一時サグントゥムを離れる。
 ハンノが演説を終えて席についたが、誰もそれに応じようとはしなかった。カルタゴ議会はみな、親ハンニバル派だったのだ。ハンノの演説はローマの代表・ヴァレリウス・フラックス以上の敵意がこめられていたために、ハンノは訴えられた。ローマの使節への返答は、「この戦争をはじめたのはサグントゥムの民からであって、ハンニバルにその責はない。もしもローマ人がもっとも古い盟友(*1)であるカルタゴ人ではなくサグントゥムの肩を持つのならば、それは正義に悖る行いだ」というものだった。
 ローマが使節を送ったりしてぐずぐずしている間に、サグントゥムの事態は急転していた。ハンニバルの軍隊は攻城戦に疲れきっていた。ひとまず攻城兵器に見張りを立てて、残りの部隊には休息を与えた。この間を利用して自軍の兵士の英気を養った。敵に対する怒りを掻き立てたり、、戦利品への期待をあおったりしていた。時は熟し、ハンニバルは兵士たちを集めてその眼前で告げた。町の富は間もなくお前たちのものだ、と。兵士たちの士気は最高潮に達していた。攻撃開始の命令が下されれば、もはや彼らを止めることは誰にもできなかった。一方サグントゥムでは戦闘が起こらなかった間も、昼夜を問わずに城壁の再建が行われており、壊れた壁も再び強固にそびえていた。
 再開された戦いは、かつてないほどの猛攻となった。ありとあらゆる場所で怒号と喧騒が響き渡り、いったいどこを優先して援軍を送ればよいのかわからないほどだった。ハンニバルは攻城兵器を設置している部隊を自ら激励していた。兵器は車輪に乗せて運ばれ、その高さたるやすでに市壁を越えていた。構えた投擲兵器が火を噴いて、守備隊をなぎ払った。ハンニバルはこの機を逃さずに500人のリビア兵を集めて城壁の下を掘らせた。サグントゥムの城壁の積み方は泥を使う古いやり方で、セメントは使われていなかったために、これは比較的簡単だった。矢継ぎ早に崩れ落ちた壁の間を抜けて、兵士たちは次々と町になだれ込んでいった。カルタゴ軍は町の中の高所を占拠し、投擲兵器をその場所に集めて壁をめぐらせ、あたかも町の中に砦が出現したような様相をかもし出していた。一方、サグントゥムの町の人々は、まだハンニバル軍の手が及んでいない場所に立てこもり、こちらも壁を築いた。両陣営とも自軍の死守に闘志を燃やしていた。だが、地形的に不利な場所に篭らざるを得なかったサグントゥム側が徐々におされてきた。しかも、これまでに長期間に渡る包囲を受けていたために、あらゆる物資が不足していた。いつか助けが来るのではないかという希望は日増しに潰えていった。唯一の希望であるローマはあまりにも遠く離れすぎていた。サグントゥムの周囲の都市は、すでにすべてがハンニバルの手に落ちていた。
 ところが、この時になって急にハンニバルがOretani族とCarpetani族を相手とする戦いに遠征していったので、サグントゥムの人々の心にもいささか希望がともった。これら二つの部族は、カルタゴに無理やり徴兵されて軍務に服させられていたのだが、その厳しさに嫌気がさしていたので、ついに軍団将校を捕らえて拘束してしまった。これは大規模な叛乱に結びつく可能性もあったが、反乱軍の予期せぬままにハンニバルがやってきたことが功を奏した。驚いた彼らはこれまでの敵対心を捨ててハンニバルに従った。
| livy | 21巻 | 17:05 | comments(2) | - | - | -
(*1)Project Gutenbergの注釈によると、『古い盟友』というのは、王制から共和制に移り変わったその年にカルタゴとローマ間で締結された条約のことをほのめかしているらしい。
| ニワセ | 2006/01/19 5:55 PM |

Oretani族とCarpetani族の叛乱の理由は、テキストによって『徴兵』を指していたり、『徴税』を指していたりする。原書が読めないので判断はつけがたい…。
カルタゴ軍は支配下の都市に兵力を供給させていたりしたので徴兵もありえたのだろうけれど……そもそもこんなところで軍隊に叛乱を起こされるようでは、今後の大遠征で叛乱が起こらなかったということが信じがたくなってくるよ。それを考えると、やっぱり『徴税』かなあという気がする。
っていうかこの叛乱は彼らの根拠地で起こったのか、それとも現場(サグントゥム)で起こったの? 前者だとしたら、その軍団はいったいどこで何をしていたんだろうか。
ちなみにOretani族は、現在のGuadalquiver川とGuadiana川の間あたりを根拠地としていた部族らしい。
| ニワセ | 2006/01/19 6:05 PM |










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