リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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22-17
カリクラ峠、火牛の計でファビウス軍を出し抜く。
 辺りを闇が包むとただちに、ハンニバル軍は密かに行軍を開始した。雄牛は隊列よりも先を行く。
 山裾にたどり着くと、ただちに合図が下った。角にくくりつけた薪が一斉に点火され、牛は怒涛の勢いで山肌を駆け上がる。牛は、頭のすぐ先でちらちら光る明かりに怯えていた。さらに燃え盛る熱も徐々に感じ取り、あたかも狂気のごとき様相を呈す。その光景は、まるで山全体が燃えているかのようだった。雄牛はしきりに首をふり、すると火の粉が周囲にぱっと飛び散る。人の群れがたいまつを掲げて駆けているようにも思える光景だった。
 峠道を守備していたローマ軍兵士もこの光景を見た。山頂には炎が煌煌と輝き、自分たちのはるか頭上にも火が見える。彼らは、自分たちが包囲されていると思った。たまらずに、配置を捨て、燃え盛る火があまり見えないほうの山の頂めがけて逃げ出していく。そこであれば安全だと思ったのだろう。
 だが、そこで彼らが見たものは、群れからはぐれた雄牛数頭だった。その牛を見たしばしの間、これは牛ではなくて炎を吐き出す神話上の動物なのかと思った。それでもやがて、これがハンニバルの策略であることが分かる。そうであれば、奇襲攻撃がやってくるかもしれない。恐れた兵士たちは、たまらず逃げ出した。
 逃げたその先で、ローマ軍兵士はハンニバル軍の軽装歩兵に行き当たってしまった。だが、夜の闇が両者ともに戦いを忌ませ、朝日が差すまで戦いとはならなかった。
 一方ハンニバルはこの間に残りの全軍を無事に通過させた。まさにその道でローマの小隊を軽くいなし、アリファエで宿営した。

 (*)真偽のほどは知りませんが、このカリクラ峠のエピソードが海を越えてはるかに伝わり、源平時代の木曽義仲の倶利伽羅峠で応用された……という説があるそうです。カリクラとクリカラ、地名が似てるといえば似てますが、実際の戦いの流れは牛を使ったことぐらいしか似てないんじゃないかなあとも思います。
| livy | 22巻 | 13:42 | comments(2) | trackbacks(0) | - | -
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