リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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22-16
ハンニバル軍vsファビウス。
封じ込められつつあるハンニバル。
窮地を脱するため、策を講じる。
雄牛の角に薪を結びつけ、ハシュドゥルバルに委ねて待機させる。
 翌日、ハンニバル軍は戦列を組んで行軍を開始した。両軍陣営の間の道は、ハンニバル軍兵士でひしめいている。ローマ軍もただちに塹壕の下につく。こちらのほうが地の利があった。
 だがハンニバル軍は騎兵および軽装歩兵部隊を前進させ、このローマ軍に挑んできた。攻撃、退却、そしてまた攻撃、これを繰り返すハンニバル軍。だがローマ軍の前線は動かない。戦いはだらだらと続く。ハンニバルは満足しなかったが、これはファビウスの望むところだった。結果的にローマ側の犠牲者は200、ハンニバル側は800を数えた。

 いまや、ハンニバルは封じ込められつつあった。カシリヌムへの道は封鎖されている。ローマ軍はカプア・サムニウムをはじめとする豊穣な地から食料を得ることができたが、ハンニバル軍にはそれも望めない。このままだとハンニバルはごつごつした岩場のフォルミアエ(*1)か、砂地と湿地のリテルヌム(*2)でこの冬を過ごさねばならない。敵を包囲するのはハンニバルの得意技であったはずなのに、いまやハンニバルのほうがその技にかけられているのだ。
 カシリヌムが封鎖された今、この地から脱するには山道、カリクラ峠を通らねばならない。だが、唯一つ残されたその道もローマ軍が張り付いている。もしもハンニバルがこの細い谷間に入れば、四方からローマ軍の攻撃が降り注ぐだろう。
 この窮地において、ハンニバルは危機を打開する策を考え付いた。敵の目を欺き、夜の闇があたりを包むと共に、密かに山間を通り抜けうる。その狡知に富んだ策の準備に、ハンニバルは次のような準備をした。
 周り中から薪を集め、分けて束にした。ハンニバル軍には、土地を荒らしたときの戦利品として得た雄牛がたくさんいた。飼いならされたものも、まだ野生味を残すものも、ともかく2000頭が集められて、その角の先に乾いた薪の束をくくりつける。夜が来るのと同時にこの薪に点火し、山腹を駆け上がらせるのだ。できれば、ローマ軍が潜んでいる道の上方あれば尚良い。この役目を担わされたのはハシュドゥルバル(*3)だった。

 (*1)Formiae。アッピア街道沿いの町。海と山に挟まれたところにある。

 (*2)Liternum。カンパニア地方の海沿いの町。ドミティアーナ街道がそばを通る。シヌエッサとクーマエの間ぐらい。196年の植民都市。スキピオ・アフリカヌスはこの地で没してます(183年)。
 
 (*3)Hasdrubal。ハンニバルの義兄、すぐ下の弟と同名だけれど、当然別人。この名前の人は今後も出てくるけれど、同一人物なのか、それとも軍中に「ハシュドゥルバル」が複数いるのか、不明です。ただし、カンネーの後はその名は見られなくなるそうです…。戦死…かな。
| livy | 22巻 | 13:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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