リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
<< 22-10 | main | 22-12 >>
22-11
ファビウス、軍団増強に取り掛かる。
ハンニバル軍の補給を阻止するため、焦土作戦を展開。
ファビウス、執政官セルウィリウスの軍勢を引き継ぎ、独裁官の権威をあまねく知らしめる。
穀物輸送船がカルタゴ艦隊に拿捕され、執政官セルウィリウスは海上警備を開始。
 神事にまつわることはこのように行われた。独裁官はいよいよ、軍事および国家の安寧を議題に出してきた。どの軍団で、また、いかなる軍団であれば、常勝ハンニバル軍に対抗しうるのか。ともかくファビウスが執政官グナエウス・セルウィリウスの軍隊を引き継ぐこと、不足分は歩騎共に市民および同盟諸市より徴募することが決議された。
 独裁官には自らの判断においてすべてのことに対処できる権限がある。ファビウスはセルウィリウス軍に更なる二個軍団を加えることをこととした。新兵徴集は騎兵長官(*1)の役割となる。集った新兵は、しかるべき日にティボリ(*2)においてファビウスに閲兵を受けることとなった。
 防衛設備の整ってない市町の住民はふるさとを後にし、安全な町に移住することも決まった。ハンニバル軍進軍予測路に位置する市町の住民もふるさとを出ねばならなくなったが、さらにはふるさとを自らの手で焼き、自らの収穫も灰燼と帰すよう定められた。これはハンニバル軍の補給とならぬことを期したものだ。
 
 ファビウス自身はセルウィリウスとの合流を期してフラミニウス街道を北上の途にあった。ティベレ河畔のオクリクルム(*3)が間近になった頃、こちらに向かって騎兵と共に駆けてくるセルウィリウスの姿が視界に入った。ファビウスは執政官に向けて伝令を出し、独裁官と会うときにはリクトルはつれてこないように言い渡した。セルウィリウスはこれに従った。当時、独裁官とは何たるかということはすでに人々の記憶から拭い去られつつあった。こうした中、この会見は独裁官の権威を改めて知らしめる結果となった。
 この直後、ローマから急使が飛んできた。コーサ(*4)の港近くで商船団がカルタゴ艦隊に拿捕されたという知らせだった。商船は穀物輸送船で、オスティアを出港し、スペインに向かう途上にあった(*5)。セルウィリウスにはただちにオスティアに向かう命令がくだった。オスティアの艦隊およびローマ付近の河川船に兵士・水夫を配備し、敵艦隊追撃・沿岸警備にかかる。
 一方、ローマ市においては大軍が編成されつつあった。解放奴隷であっても、子供がいて兵役年齢に達していれば、入隊誓約を課された(*6)。首都に編成されたこの軍勢のうち、35歳以下はすべて艦隊要員として派遣され、残りが首都防衛に当たることとなった。


 (*1)騎兵長官ミヌキウス。
 
 (*2)Tibur。帝政のハドリアヌス荘があることで有名。
 
 (*3)Cosa。Ocriculum。ティベレ川沿い、ウンブリア地方にある町。
 
 (*4)エトルリア沿岸部にある港町。
 
 (*5)スペインで展開中のコルネリウス・スキピオ軍に支援物資を輸送中だったようです。

 (*6)新兵は入隊に際して指揮官への忠誠を誓う誓約をするそうです。この慣習が確立したのもこの時代からだったようです。
| livy | 22巻 | 19:55 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









トラックバック機能は終了しました。
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

このページの先頭へ