リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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22-08
ケンテニウス率いる騎兵4,000、ハンニバルに敗北する。
独裁官ファビウスおよび騎兵長官ミヌキウス、選出される。
 いまだこれといった策も打ち立てられないうちに、更なる訃報が届いた。もう一人の執政官セルウィリウスが麾下のガイウス・ケンテニウス(*1)に4,000騎を委ね、同僚の救援を期して駆けさせていた。ケンテニウスは道中トランジメーノの敗報を聞き、進路をウンブリアへと転じる。そこで、この4,000騎はハンニバルの手に落ちたのだった(*2)。
 この報せに対する想いは、人それぞれだった。トランジメーノの敗北から心を引き離せない者は、あれに比べれば今度の敗報など取るに足らない数だと思った。また別の者はその犠牲者数はどうあれ、これによって生じる精神的ダメージを重大に捕らえた。国家はすでに十分傷つき悲鳴をあげている。これ以上の打撃に、どうやって耐えられるというのだろうか。
 国家は、蒙った傷を修復するために、もう長年とられていなかった措置を復活させる。独裁官の任命である。ところが、独裁官任命権限があるのは唯一、執政官のみ。その執政官は二人とも不在だった。しかも生き残った一人の執政官に至る間の土地はカルタゴ人がのさばっていて、書状を送ることもままならない。だが他に方法はない。独裁官は、市民の手で選出された。この前例のない独裁官は、クイントゥス・ファビウス・マクシムス(*3)。また騎兵長官(*4)にはマルクス・ミヌキウス・ルフス(*5)が、これもまた市民の手によって選ばれた(*6)。元老院はファビウスにまず、市壁の強化、守備隊の配備、川橋の破壊を命じた。もはやイタリアを守ること能はざる今、彼らの手に残されたこの町に篭り、なんとしてでも死守せねばならなかった。

 (*1)Gaius Centenius。
 
 (*2)ポリュビオスによると、このケンテニウスを討ち取ったのもマハルバルだそうです。マハルバル隊は最初の一撃で全体のほぼ半数を討ち取り、さらに残りの兵士を丘の上においつめて、翌日には全員を捕虜にしたということです。(ポリュビオス3巻86節参照)
 
 (*3)Quintus Fabius Maximus Verrucosus Cunctator。218年には使節としてカルタゴに赴き、開戦を宣言しています(21-18参照)。
 
 (*4)Master Of the Horse。直訳して「騎兵長官」。「独裁官補佐官」としたほうが実際の意味が掴みやすいと思いますが、ここは慣例に従いました。

 (*5)Marcus Minucius Rufus。221年には執政官も務めているそうです。彼の人柄については、DSSSMさんのサイトを参照ください。分かりやすくまとめられてます。まあ一言で言うと、冷静沈着なファビウスに比して、熱情的性格のアニキ肌って感じなのでしょうか?
 
 (*6)通常であれば「執政官が独裁官を選び、独裁官が騎兵長官を選ぶ」という流れになります。ところがここでは独裁官・騎兵長官共に市民の手で選ばれています。ファビウスとミヌキウスという、はっきり言えばそりが合わない気質の持ち主が並び立つことになったのは、通常の選出体形が取られていなかったことが原因らしいです。
| livy | 22巻 | 18:35 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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