リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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22-04
ハンニバル、トランジメーノ湖岸に奇襲陣形を敷く。
フラミニウス軍、湖岸に到着する。
トランジメーノの戦い、開戦。
 ハンニバルはコルトーナ(*1)からトランジメーノ湖にかけての一帯を荒らしまわった。フラミニウスは盟邦の蒙った惨劇に黙ってはいまい。略奪を加えれば加えるほど、彼は怒りに我を忘れていく。
 進軍を続けるハンニバル軍はやがてトランジメーノの湖面がコルトーナの山腹と接する土地に出た。ここは伏兵を潜ませるにはもってこいだ。道はきわめて狭いが、あたかも天啓の如くに待ち伏せしうるだけの余地があった。細く続いた道はやがて開け、丘陵へとのぼっていく。
 この丘の上に、ハンニバルは宿営地をうち立てた。ここからはあたり一帯の景観が手に取るようにつかめる。ハンニバルの傍らにはスペイン兵とリビア兵が配備された。残りの兵士のうちバレアレス兵以下軽装歩兵は高所を哨戒。騎兵はこの隘路の入り口付近に身を隠す。ちょうど身を潜ませるのに好都合な低い丘もあり、まさに地の利ここにあり。ローマ軍が隘路に入った瞬間に騎兵がこの道をふさげば、左右を湖と山に挟まれたローマ軍は身動きが取れなくなるだろう(*2)。
 
 フラミニウスがその地にたどり着いたのは日没の時刻だった。そして翌日(*3)、朝まだ来、軍勢は隊伍を組んで進軍を始める。軽率にも、前方への哨戒は十分ではなかった。道が開けて比較的広い地に出ると、フラミニウスの目には先を行く敵軍の姿がまばらに見えた。だが彼の目が捉えぬところで、背後および丘の上に残りのハンニバル軍全軍が布陣を完了している。
 獲物は、罠に入った。両側を湖と山に囲まれ、前後をカルタゴ軍がふさぐ。ハンニバルの目はこの機を逃さず捉える。
 「全軍突撃!」
 号令一下、全軍一斉に攻撃を敢行、斜面を下り手近の敵に襲い掛かる。折からたちこめる霧でハンニバル軍の姿は完全に隠れており、不意打ちは完璧なまでに成功した。湖から立ち上る霧は、湖と山の間の道を分厚く覆っていた。逆に高い位置では霧もそれほどではなく、ここから駆け下りるハンニバル軍には互いの姿が明らかで、整然と隊伍を組んで突撃していく。四方八方に木霊する怒号、敵の姿はまだ見えねども、すでに包囲されていることは明らか。隊列の前後で敵味方がぶつかり合う。だがローマ軍には剣を鞘から抜く間はおろか、武器を手にする暇もなかった。
 
 (*1)Cortona。エトルリアの有力都市。アッレティウムからトランジメーノ湖への途上にある。現代でも同名の町。
 
 (*2)このあたりの地形の描写はポリュビオスと多少違うようです。ポリュビオス読むと湖から北に入った谷間にローマ軍を誘い込み、左右から挟撃したように書いてあったので…。実際の地形をみた限りではリウィウスの記述のほうが地形に即している気がします。ちなみに地形確認はGoogleEarthにて。…で、一応布陣図を作ってみました。

 (*3)伝承によると、トランジメーノの戦いが行われたのは6月21日だということです。
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