リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-62
ローマで起こった不思議な出来事と、それへの対応。
 この冬、ローマではおかしな出来事が続いた。人心は迷信に傾いた場合、皆こぞってそれを鵜呑みにしてしまい、不安を呼ぶ。
 たとえば、とある名門のいまだ6ヶ月の乳児が青果市場で「勝利よ!」と叫んだ。たとえば、家畜市場で一頭の雄牛が建物の三階(*1)まで昇ってしまい、住民におびえて階下へ飛び降りてしまった。たとえば、青果市場にたっている希望の神殿が落雷を受けた。たとえば、ラヌウィウム(*2)の槍が勝手に動いた。たとえば、一羽の鴉がユノー女神の神殿に飛んできて、女神の長いすに舞い降りた。たとえば、アミテルヌム(*3)あたりでは、一見すると人であるような、白い衣服を着た何者かが各地で目撃されたのだが、そばによることはかなわなかった。たとえば、ピケヌム(*4)では石が降ってきた。たとえば、カエレ(*5)では予言の板が縮んでしまった。たとえば、ガリアでは兵士が狼に鞘から剣をひったくられた。
 
 こういった不思議な出来事をどう扱うか。このために委員会を設けてシビュラの書を鑑みることになった。
 石が降ったピケヌムには9日間の祭事を執り行うことが決められたのを皮切りに、他の兆候にもしかるべき処置が行われた。まず町をきれいにして、神々へ大掛かりなささげ物をする。ラヌウィウムのユノー神殿には20キロ近い重さの金を捧げる。女性たちは、アウェンティーノにあるユノー神殿に真ちゅう製の女神像を奉納する。カエレでは特別な神事が執り行われた。アルギドゥム(*6)では幸運の女神への祈願が行われた。ローマでも若者の神への神事が執り行われ、ヘラクレス神殿に祈願が行われた。最終的には住民全員が、すべての神殿に参拝することになった。ローマの守護神にも5つの立派な犠牲がささげられた。この年の法務官ガイウス・アティリウス・セルラヌス(*7)は、国家が向こう10年かわらずにいなければ、自分は追放されてもかまわないと誓いを立てた。
 こういうことはすべてシビュラの書が記すところに従ったものであるが、とりあえず人心を迷信への恐れから離して、落ち着きを取り戻すことに成功した。

 (*1)この時代にもすでに高層建築はあったんでしょうか。
 
 (*2)Lanuvium。ラティウム地方にある町。アッピア街道沿いにある。ユノー・ソスピタ女神の神殿があることで有名。
 
 (*3)Amiternum。サビーナ地方にある町。
 
 (*4)Picenum。アドリア海沿岸地方。ウンブリアの南東。肥沃な土壌で知られ、リンゴの産地。
 
 (*5)Caere。エトルリア地方の町。ローマから北西にいった沿岸地方。
 
 (*6)Algidum。ラティウム地方の町。ローマから南東にいったところで、ラティーナ街道沿い。
 
 (*7)Gaius Atilius Serranus。21-26参照。同僚と共に北イタリアのガリア人討伐にあたっていた。コルネリウスがティチーノ・トレッビアに率いていた軍団は、このアティリウスたち配下でガリア人と戦っていた兵士たち。
| livy | 21巻 | 15:46 | comments(0) | - | - | -









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