リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-55
両軍、戦闘配置。
戦闘開始。
ローマ騎兵が破れ、続いて歩兵も崩れ始める。
そこへ伏兵部隊が襲い掛かり、ローマ歩兵軍団は壊滅の危機に瀕す。
象と対峙した部隊は予想外に持ちこたえた。
 一方ハンニバル軍の陣営では、天幕の前で赤々と焚き火が燃え上がっていた。皆で油を回し合って四肢に塗り、かじかんでいた身体を和らげた。お腹もすっかり満たされている。「敵軍、渡河」の知らせが飛び込むと、指先まで士気みなぎった兵士たちが剣を手にして駆け出していった。
 ハンニバルは隊列の最前線にバレアレス兵および軽装歩兵を配備した。その数、約8,000。その後ろに、主力たる重装歩兵を置く。両翼には総計10,000の騎兵を配し、さらにその外側に象を配した。
 
 ローマ軍のほうでも、歩兵の側面に騎兵が配された。だがこの騎兵はヌミディア騎兵をがむしゃらに追撃しにいっており、退却していると見せかけた敵騎兵から不意打ちを食らって散り散りになってしまっていた。しかるべき戦闘配置につけるためには、こちらが退却命令を出して強制的に呼び戻さねばならなかった。ローマ軍歩兵部隊は、ローマ市民兵18,000人、ラテン市民兵20,000人、総計38,000に更に友軍が加わる。ガリア人の中では唯一、Cenomani族がローマ側についており、この部族が友軍を供給していた。両軍、こうした様相で相対していたのだった。
 
 嚆矢を放ったのは、ハンニバル軍のバレアレス兵だった。だが、対するローマ軍は数で圧倒している。ハンニバル軍の軽装部隊は両翼へと逃げた。
 両翼で展開していた騎兵戦では、カルタゴ側が圧倒的有利だった。元々が、4,000対10,000の差である。数での有利に比べて、士気もカルタゴ側がはるかに勝っていた。敵騎兵に圧倒されていたローマ騎兵の頭上に、バレアレス兵の放つ投槍が、あたかも群雲の如くに降り注いできた。騎兵の更に外側には象部隊が配備されている。騎兵の跨る馬は象の偉容と、かいだことのない獣臭におそれをなしてしまった。ローマ騎兵部隊は戦意喪失して混乱のるつぼと化してしまった。
 歩兵戦は、強さのほうはともかく、勇猛さは互角だった。カルタゴ軍は戦闘の直前まで十分に身体を休めていた。反対にローマ兵は腹を締め上げる空腹に耐え、寒さに凍えている。彼らをしてその場に踏みとどまらせていたのは、ひとえに、勇気だけだった。
 相手がただ歩兵だけであれば、その勇気も打ち砕かれはしなかっただろう。だが、騎兵を圧倒したバレアレス兵の投石が、今度は歩兵の側面を襲った。しかも象部隊も歩兵軍団の中央を突破してきた。
 その時ちょうど、ローマ軍団戦線が伏兵潜伏地の前を通過した。ローマ軍は誰もその茂みに注目しておらず、マゴーネ部隊はまんまと軍団をやり過ごしていた。好機は今。マゴーネ部隊は機を見るに敏、藪から姿を現し、ローマ軍団後列を急襲。ローマ軍団は恐慌状態に陥った。
 この窮地にあって、それでもまだ破られずにいる部隊もいた。大方の予想を裏切って、象と対峙せざるを得なかった部隊が、崩れなかったのだ。あらかじめ象と対峙するために置かれていた軽装歩兵が槍を射掛け、たまらなくなった象が反転すると追撃して、尻尾の下を槍で突いた。そこは象肌が一番柔らかいところなので、傷を負わせることができたのだ。
| livy | 21巻 | 18:34 | comments(0) | - | - | -









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