リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-54
ハンニバルの戦闘準備。
弟マゴーネに一隊を与えて茂みに潜伏させる。
ヌミディア騎兵を先発させ、センプローニウスをおびき出す。
センプローニウスはまんまと罠にかかり、陣から飛び出す。
この日・この地は、厳寒。
寒さと空腹でローマ軍は弱り始める。
 両軍の間には小川が流れていた。水面から岸までは切り立った崖になっていて、沼沢性の植物や、未開墾の土地につきものの野イチゴが生い茂っている。ハンニバルは自ら馬を駆って、その一帯を視察していた。その彼の目に、騎兵でも身を隠すことができそうな場所が映る。付き従っていた弟のマゴーネを呼び寄せた。
 「あの場所に身を隠していろ。全軍の歩兵と騎兵の中からそれぞれ100人を選び、第一歩哨時に俺の元へ来い。さあ、そろそろ食事の時間だ。休息にしよう」
 マゴーネ以下同行していた者たちは一時解散となった。
 ほどなくしてマゴーネが選び出した200人の兵と共にハンニバルの元を訪れた。
 「よし、皆、歴戦の兵たちだな。気合の方は十分だが、全体の数はそうもいかない。各自ひとまず原隊に戻り、これぞと思う者を9人ずつ連れて来い。お前たちは伏兵となり、わが弟マゴーネが率いてある地点に潜伏することになる。戦術の妙を知らぬ敵に、我らが技を見せてやれ」
 部隊は歩兵1,000および騎兵1,000となり、マゴーネはこれを率いて例の場所に向かった。送り出したハンニバルは今度はヌミディア騎兵を召集する。
 「騎兵よ、お前たちの役目は夜明けと共にトレッビア川を渡って敵陣営の門前に躍り込み、番兵に投槍を食らわせて決戦の場におびき出すことだ。敵がまんまと陣営から出てきたら、ゆっくりと後退しつつ、そのまま川を渡らせろ」
 この命令を出した後は、残りの歩兵部隊および騎兵部隊の隊長を呼び、兵員にたっぷりと食事を採らせるように命じた。食事の後は人馬共に兵具をつけ、しかるべき合図を待つこととする。
 
 センプローニウスは戦いのときを今か今かと待ちわびていた。ゆえに、ヌミディア騎兵が最初の一槍を投じた途端、こちらも全騎兵を率いて陣から駆け出してきた。騎兵に続いて、まず6,000の歩兵も出陣し、さらに残り全軍も陣営を後にした。センプローニウスのほうでもしかるべき場所の目星はつけていたので、その場所に兵士を配置する。
 時は真冬、空は雪。前はアルプス、後ろはアペニン。傍らは川。寒さはいや増す。
 ローマ軍はあわてて出陣したために食事も採らず、防寒具も身につけてはいない。川から吹き付ける風は身を切るほどに冷たい。だが、ヌミディア騎兵を追ったローマ軍は軽率にもその川に飛び込んでしまったのだ。おまけに前日の雨で水かさは増し、胸の高さまでが水に浸かった。水から上がると全身にがちがちと震えが走る。この手では武器を握ることもかなわない。時間が経つにつれて空腹が兵士を苛み、ローマ軍は戦いもしないうちから弱っていった。
| livy | 21巻 | 18:29 | comments(0) | - | - | -









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