リウィウスを読もう!

ティトゥス・リウィウスの「ローマ建国以来の歴史」、
完全日本語訳がまだされていないこの史料を読もうという試みです。
自己中心的なことに、スタートは21巻からです。いつになることやら分からないけれど、エンドは30巻です。
要するに、第二次ポエニ戦争限定です。

*はじめてお越しの方は、「はじめに」をご覧ください。
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21-52
ハンニバル軍と執政官連合軍、相対して布陣する。
付近のガリア人の中立に苛立ったハンニバルは略奪を敢行。
これにおそれをなしたガリア人はローマに助けを求めた。
センプローニウスはこれを受けて一隊を出し、ハンニバル軍の一部隊と交戦。
激戦が繰り広げられたが、ローマ側が辛くも勝利をおさめる。
 いまやハンニバルの眼前には、執政官が二人とローマの持てるすべての力が結集されていた。もしもここでローマを守りきれなかったら、待つのは絶望に彩られた未来だけだ。片方の執政官は先の騎兵戦の様相と自ら蒙った傷ゆえ、戦略の転換を求めていた。だがもう一方は元来が迸る激情を内に秘めている。この状況は彼の激情を更に燃え立たせ、一刻も早く戦場へと踊りだしていきそうだった。
 
 トレッビア川とポー川に挟まれたこの地はガリア人が住まう土地だった。この緊張の中でガリア人はより強い側に与しようと機会を窺って、微妙な中立状態にあった。ローマとしては、当面は中立を保ってくれればよかったので、現状で問題なしと考えた。だがハンニバル側は現状は満足するには程遠いと憤激した。そもそもイタリアに来たのはガリア人をローマのくびきから解放するためなのである。
 怒りにかられたハンニバルは、その怒りを晴らすと共に自軍の兵糧を確保するため、歩兵2,000および騎兵1,000を編成する。騎兵の多くはヌミディア人だったが、中にはガリア人も混じっていた。この部隊の任務は、ポー川にいたるまでの一帯を略奪しつくすことだった。
 略奪を受けたガリア人は助けを求めて、これまでの中立を捨てた。略奪から身を守るため、ローマ軍執政官の元へ使節を派遣する。
 「ローマへの忠誠を誓うこの哀れな者たちを、いわれのない略奪から救ってください」
 コルネリウスはこの訴えに疑念を抱いた。彼はガリア人は信用ならないと考えていたからだ(*1)。これまで幾度も裏切り行為を見てきたし、つい近年のボイイ族の不実な行いは、他の誰が忘れてしまってもコルネリウスは覚えていた。
 ところがセンプローニウスは逆に、この言葉にすっかり動かされて、これを好機ととらえていた。このガリア人の言葉に応えれば、強固な信頼関係が築けるに違いない、と。
 コルネリウスはまだためらっていたが、センプローニウスは独断で自軍騎兵および槍歩兵1,000を出し、トレッビア川向こうのガリア人領地の防備を命じた。ばらばらに散開していたハンニバル軍の部隊は不意をつかれてしまった。しかもハンニバル側は略奪品を山ほど抱えて機敏さを失っている。殺戮は、ローマ軍のほしいままにされた。
 これにおそれをなしたハンニバル軍は逃げ出し、自軍陣営のすぐそばまで敵の追撃を許してしまった。同胞はこれを見て陣営から飛び出し、逃げていた兵も士気を盛り返して再びローマ軍に向き直った。
 押しては返し、返しては押す。両軍一歩も引かぬ攻防戦が繰り広げられたが、どちらも決定的な勝利をつかむことは出来なかった。しかし犠牲者の数から言うとハンニバル側に多くが出ており、結果的にはローマが勝利をつかんだことになった。

 
 (*1)リウィウスはコルネリウスを慎重な人間に描いているようです。その彼が、結局はガリア人(ケルティベリア人)の裏切りによって命を落とすことになります。運命の皮肉さがこめられているのでしょうか。
| livy | 21巻 | 18:43 | comments(0) | - | - | -









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